CRMコンサルが注目される理由とは?顧客体験向上に欠かせない知識とスキル

CRMコンサルの仕事とは

役割と担当領域(導入~運用支援)

CRMコンサルの仕事は大きく3つに分けることができます。

CRMコンサルの業務内容

①顧客データの管理
顧客のデータを収集し、見やすい形に整理する

②データの分析
データを分析し、ボトルネックを抽出する

③マーケティング活用
課題に対する施策を検討する

特に市場では顧客データの管理の部分について、大量のデータを整理し、「検索すると情報が出てくる」状態を整えることがCRMコンサルに求められています。

顧客データの管理が市場で最も求められる理由は、企業は施策検討を行うにあたって、集めた情報を整理する必要がありますが、大量のデータ整理は手間と時間がかかる作業だからです。そのため、雑多なデータベースを整理し、管理するCRMコンサルは重宝される傾向にあります。

CRMコンサルの具体的な業務内容

具体的に「カフェの売り上げ向上施策」を例にCRMコンサルの仕事を説明します。

まず、カフェの売り上げを向上させていくにあたり、現状を知る必要があります。そこで、1日の顧客数、時間帯別の顧客数や売り上げ、客層、滞在時間、客単価等の顧客データを収集します。

収集した大量の顧客データを整理し一元化することで、下記のような現状が顕在化します。

・15時から17時の売り上げが最も多く、10時から12時が最も少ない
・夕方は学生の利用が多く、午前中はビジネスマンの利用が多い
・午前中は客単価が少ない
・17時以降はドリンク+ごはんメニューの利用が多い
 ・夕方以降は顧客の数が減少している

次に整理したデータを基に課題とボトルネックになっている原因を抽出します。

・夕方以降は学生が勉強目的で利用しているため、1人あたりの滞在時間が長く、回転率を下げる原因になっている

・午前中は利用者数が多くテイクアウトが多いため回転率も高いが、コーヒー単品での購入が大半のため、売り上げが低い原因になっている

上記を踏まえて、施策の方向性を定めます。
「夕方以降は売り上げ自体は1日の中で高いため、午前中の客単価を向上する施策を検討しましょう」

・午前中はフードとセットで購入した場合、割引きを設ける

・モーニングメニューとして午前中限定のフードやドリンクを用意する

マーケティング領域との連携

上記のカフェの売り上げ向上の例からも分かる通り、CRMコンサルは単に顧客データの管理だけではなく、データから現状分析し、マーケティング領域と連携して施策を検討する仕事になります。

CRMコンサルに必要なスキル・資格

  1. 各種CRM製品(Salesforce、Dynamics、Oracleなど)の知識
    • CRMコンサルには、CRMの専門的な知識が求められます。そのため、CRM製品の中でも広く使われているSalesforceやDynamicsに関する資格やスキルがあることが望ましいです。
  2. データ分析力と顧客視点
    • CRMでは顧客データの分析が中心的な要素となるため、データ分析力は非常に重要です。さらに、顧客のニーズを理解し、顧客関係を深めるための戦略を構築する役割を担うため、顧客体験(CX)設計のスキルが必要です。 
  3. 関連資格(Salesforce認定資格など)

下記の資格を取得することでCRMコンサルとしてのスキルを証明することができます。ぜひ参考にしてみてください。

  • Salesforce認定資格
  • Microsoft認定資格
  • Oracle認定試験
  • Google Analytics認定資格
  • HubSpot認定資格

キャリアパスと市場動向

CRM導入支援からマーケティングコンサルへのシフト

CRMコンサルはCRMを導入し、マーケティングと連携して施策を考えるため、マーケティングコンサルへとシフトすることが可能です。CRMコンサルではデータ管理が主な業務であるのに対し、マーケティングコンサルでは施策検討が主な業務になります。そのため、CRMコンサルで培った顧客視点を活かしてマーケティング領域でも効果的な施策を打ち出すことが期待できます。

CX(顧客体験)領域の拡大と今後の需要 

CRMコンサルはtoB向けの企業でもtoC向けの企業でも重宝されており、今後もCX領域の拡大に伴って需要の高まっていく職種です。現在は顧客管理を外注しているケースが多いですが外注の場合、CRMの専門性はあるものの各企業への理解は欠けてしまいます。そのため今後企業は、CRMに専門性があり企業に対しても愛着を持つ社内部隊として活躍してくれるCRM担当を求めていくでしょう。

余談ですが、社内部隊としてCRM担当者になる場合はベンダーと共に顧客データベースを管理することになります。そのため顧客データ管理だけではなく、データ分析やマーケティング領域まで任せてもらえることが多いです。

転職エージェントが語るCRMコンサル成功のポイント

自己PRにおける業務実績・数字の示し方

自己PRで業務実績や数字を示すことで、自分のスキルを説得力を持ってアピールすることができます。特にCRMコンサルタントの場合、成果を具体的な数値で示すことが重要です。以下のような点に注意すると良いでしょう。

CRMの導入によってどれだけの売上向上や顧客満足度改善があったのか。 例えば、「CRM導入後、顧客再利用が15%向上」「マーケティングにより施策を実施した結果、売り上げが20%増」など、具体的な数値を示すことが有効です。

製品別の得意分野を活かす戦略

CRMコンサルタントとして、特定のCRM製品やプラットフォームに精通していることは大きな強みです。得意な製品別の戦略をどうアピールするかが重要です。以下の方法で得意分野を活かして戦略を立てましょう。

  • Salesforce、 Dynamicsなど、特定のCRMツールに特化している場合、それらのツールを活かした実績を強調すると良いでしょう。例えば、「Salesforceを活用した顧客管理システムを導入し、営業プロセスを30%効率化」などの具体的な成果を示すことで、具体性を持って伝えることができます。
  • 特定の業界(例えば、製造業、サービス業、IT業界など)に特化してCRMを運用した経験を持っている場合、その業界のニーズや課題にどう対応したかを示すことが有利です。例えば、「製造業向けのCRM導入で、在庫管理の精度が向上し、納期遅延を20%削減した」といった具体的な実績を語ると効果的です。

まとめ

CRMコンサルに求められるのは、データ管理や分析のスキルです。そして、それらのスキルを持った上で顧客の行動やニーズを深く理解し、適切な施策を立案できることが、専門性の高さに繋がります。顧客視点を磨くことで、企業にとって不可欠な存在となり、市場価値を高めることができます。

またCRM領域は、テクノロジーの進化が速く、データの収集・分析ツール、AIによる予測分析、パーソナライズマーケティングの技術など、最新のトレンドに常にアンテナを張ることが重要です。新しい手法を積極的に取り入れることで、より効果的な施策を提案できます。